神の乳母

最近読んだ本の中で一番面白かったのが【神の乳母 異形に奪われた妻】(チンジャオ娘)です。
ストーリーとしては結構ダークで薄気味悪いのですが、よく練られていると思います。
登場人物は、神の乳母となる百合恵と、「神」とよばれる異形。そして、その異形を管理している神守という女性です。

物語序盤で、百合恵は神守に騙されて神の乳母にされてしまいます。
異形の神の正体は物語終盤で明らかになるのですが、実は神守の正体は始終謎のままです。
百合恵が神の乳母の役目を終えたと同時に姿を消したことから、普通の人物ではないし、何らかの目的をもって、百合恵を神の乳母に仕立て上げたことは明白です。
それなのに、神守については何も語られないのは結構不気味です。
ただ、異形の神を管理する能力はあるようなので、もしかしたら、神かそれに近い立場にいるのかもしれません。

どちらにせよ、神守は百合恵を半ば騙して、神の乳母にしてしまいます。
しかも、百合恵を脅して、ずっと異形の相手をするように仕向けてきます。
ただ、百合恵を貶めることが目的ではないように思えます。
なぜなら、物語のラストで百合恵は神の乳母となれたことを感謝すらしているような描写があります。
神守も神の乳母の役目を終えた百合恵に対して、それ以上の接触はしていないようですし、どちらかというと神守自身の目的のために、百合恵を利用しただけかもしれません。

そして、神の乳母として利用された百合恵ですが、最終的にはかなりハッピーエンドになります。
ただ、これは百合恵視点での話であって、百合恵の夫的にはかなりキツい結末です。
なぜなら、物語のラストで百合恵は妊娠しており、そのことを悦んですらいます。
しかし、百合恵の夫は妻に不気味なものが宿っているように見えて仕方がないようです。
多分、状況認識的には百合恵の夫の方が正しく、百合恵は精神の均衡を欠いているように見えます。

ただ、ネタバレをしてしまうと、実は百合恵は神の乳母の序盤の時点ですでに精神の均衡を崩しています。
実はチンジャオ娘の神の乳母にはもう1人登場人物がいるのですが、この登場人物は現実には実在しないのです。
つまり、百合恵の空想の人物であり、この人物こそが神の乳母に深くかかわってきています。
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